私たちが携わっている人材紹介が「事業」であるかぎり、月次、四半期、年間の目標を達成しなければ事業を伸ばしていくことはできません。日々、KPIや目標の達成に向けてがむしゃらに取り組んでいると、いつしか業績目標の達成が目的になってしまい、「本質的な仕事ができているのだろうか…」と、ふと考えるときってありませんか?
私はそういうとき、「何が目的で、何が手段なのか」ということを考えるようにしています。
私の場合、人材紹介は手段であり、「自社にとって良い人材を採用したい」というクライアント企業の要望にこたえたり、「自己実現に近づく環境を手に入れたい」という転職を希望される個人の方の希望を叶えたりすることを目的としています。つまりは、それぞれの「想い」の実現に立ち返るようにしています。
クライアント企業は、人材採用の「その先」にある事業課題や経営課題を解決するため、転職を希望される個人の方は、転職の「その先」にある自己実現のために、私たちの発揮する価値に期待していただいています。企業にとっての採用、個人にとっての転職は、決してゴールではなく、あくまでスタート地点に立つということだと思います。そのスタートに立つうえで「いかに納得感ある選択ができたか」がとても重要だと考えています。
よく使うこの言葉。私たちが手掛ける人材紹介において、何を意味しているのでしょうか? 世の中にある全ての選択肢を検討でき、かつ時間的な制約がなければ、時間をかけて「これだ!」と思えるものを選択するということは可能でしょう。しかし実際の採用活動、転職活動では、さまざまな制約条件のなかで最終的な決断をしなければなりません。
では、ここでいう制約条件とはどのようなことでしょうか?
例えば採用企業にとっては、
- 事業計画から落とし込まれた採用計画(いつまでに採用しなければならないか)
- 候補者の併願先の選考スケジュール
- 候補者が納得する年収などの条件面
- 候補者がもともと持っている志向と、活動を通じて変化していく志向
など。
一方で、転職希望者にとっては、
- 転職活動に捻出できる時間
- 転職活動の期間に発生する企業の採用ニーズの有限性
- 複数企業の選考を進めるうえでのスケジュールの足並み
- 応募企業から提示される年収などの条件面
- 活動をしながら変化していく自身の志向
などがあげられます。もちろん上記が全てではなく、それ以外にもたくさんの制約条件と呼べるものが存在しています。
このような制約条件があるなかで、採用や転職の意思決定をしなければならないタイミングを迎えます。その意思決定をより納得感をもってできるようにするために、私たち人材紹介コンサルタントは何ができるかを常に考えて クライアント企業や、転職を希望する個人の方に提案していかなければなりません。
情報不足や、先入観で選択してしまうというのはもちろん避けなければならないのですが、間に立っている私たちのミスリードや、伝え方を間違うことで、意思決定のために必要な情報を正しく提供できないということは、最も避けなければならないことです。
そのためには、目の前で起こっている事象を正しく把握し、状況を整理して、この先起こり得ることを想定したうえで、取りうる選択肢のそれぞれのメリット、デメリットを提示できるロジカルさが必要です。また、重要な意思決定に際しては、いかに当事者である採用企業や転職希望者に本音を話してもらうかが重要ですので、しっかりと感情に寄り添って一緒に整理していくことも必要です。
頭と、心を、フル回転して、双方の「納得感」に向けて伴走できるかが、エージェントの価値を左右することになるのではないかと思っています。 採用企業にも、転職希望者にもやり切っていただくための環境づくりが できるように、もっともっと真摯に向き合っていきたいと思っています。 こういった価値を高めていくために、日々チームで研鑽していくことで、 結果として業績形成ができるのが理想ですね。