日本の成長企業

人間の記憶を10倍にする。 目指すのは、「誰もが制約なく学べる世界」

モノグサ株式会社 代表取締役CEO
竹内 孝太朗氏

名古屋大学経済学部卒。2010年に株式会社リクルートに入社。中古車領域での広告営業に従事し、2011年に中古車領域初および最年少で営業部門の全社表彰を受賞。2013年からは「スタディサプリ」にて高校向け営業組織の立ち上げ、学習到達度測定テストの開発、オンラインコーチングサービスの開発を行う。高校の同級生である畔柳(くろやなぎ)圭佑氏とMonoxerを共同創業。

 

記憶は才能ではない、という前提

解いて憶える記憶アプリ「Monoxer(モノグサ)」を開発・運営。導入実績は4,000教室以上と、EdTechサービスとして国内トップクラスとなっています。まずは事業について教えてください。

当社は、記憶定着のためのプラットフォームを運営しており、何かを憶えることに特化したサービスを提供しています。研究の結果、「解いて憶えることで長期間記憶しやすい」ということが明確になっています。たとえば学生時代に、憶えたい箇所を赤いシートで伏せたり、リングカードを使ったりしたのは、解いて憶えるための工夫です。Monoxerは、「憶えたい情報をAIが解くために適切な形に直してくれる」をコンセプトとしています。AIがその人の記憶の度合いに合わせて、答えやすいように択一で出題したり、ヒントの量を調節したりします。思い出す行為を放棄させず、「ギリギリ解けた」状態を繰り返して「ノーヒントで解けた=憶えた」というところまでサポートします。また、「忘れない=長期記憶化する」ことも大切です。学習計画機能を活用するにより、個々人の忘却速度に応じて、反復のタイミングも加味して出題をすることができます。

学習者にとってだけでなく、学校や塾側にもメリットがありますか。

たとえばクラスの平均点が70点だとすれば、教師は教えたことの7割しか生徒たちに定着させられていないことになります。授業で教えるのは教師の仕事だが、憶えるのは生徒、つまり、記憶は才能だとして、諦められている部分があります。
私たちは大前提として、「記憶=才能、ではない」と考えています。これまで記憶力は、身長のように遺伝などで決まっていると考えられてきました。「憶えられない=頭が悪い」と表現されたりします。本人も教師も保護者も、記憶力が頭の良さだと思っており、それは努力で磨けるというよりは、才能で決まっているように思われているのです。しかし、これはおかしなことです。Monoxerを使うと誰もが自分に合ったレベルで解き続けて憶えられますし、ブラックボックスのようだった記憶の過程も可視化できます。そうすれば、指導者側も、進度が遅れている生徒に声をかけてフォローしたりといった指導ができます。

人間は、記憶したものによって世の中をとらえている

Monoxerのイノベーションのポイントは、何だったといえるでしょうか。

共同創業者であるCTOの畔柳(くろやなぎ)は新卒でGoogleに入社し、世界中で利用されているAndroid用ソフトウェアキーボードを開発したエンジニアです。起業を持ちかけたのは私ですが、記憶領域に関してプロダクトを通じて顧客に提供している価値の99%は今のところ、畔柳が起点です(笑)。そもそも憶えたというのはあいまいな概念です。10回解いたときに正答率50%ならよいのか、直近で3回正答すればよいのか、正式な定義は定まっていません。そのなかで畔柳は、AIが問題を作ったときに、回答者が正解するかどうかを「予測」させようと考えたのです。すると、予測が外れるという現象が起き、AIが反省をして「この人は思ったより憶えている」というのを次の作問や推定に役立てるようになるわけですね。この「AIに一度決めさせる」のがアイデアとして非常に重要でした。そして、「知的記憶の単位を最小化」して捉えることも重要だと彼は言います。たとえば動画で授業を閲覧したという知的活動について、動画を何分間見た、というログデータから得られるものには限界があります。しかし、動画内で発せられた言葉と、それを閲覧者が憶えたかといった知的活動の最小単位に迫れれば、できることが大きく変わってきます。記憶という概念をテクノロジーと掛け合わせて紐解いていくとイノベーションのポイントが見えてきます。

「いちいち憶えなくても検索すればよい。重要なのは考える力」「記憶はさっさと終わらせるべきもの。考えるという知的生産に時間を使え」、といった見方をどう思いますか。

記憶は過小評価されすぎていると感じます。詰め込み教育という言葉の負のイメージもあり、記憶はクリエイティビティの反対概念とされています。しかし、イノベーションは当初、「新結合」と呼ばれました。スティーブ・ジョブズのいう「Connecting the Dots」であり、人は「もともとあるもの」をつなげて新しいものを生み出してきたのです。であれば、もともとあるものを増やす「記憶」はもっと評価されてよいはず。記憶されていないものは、存在していないに等しいともいえます。たとえばお経は、その内容を知らない人にとってはBGMのようなものですが、知っている人には説法です。つまり、人は記憶したことによって世の中を捉えています。記憶を変えれば世の中の見え方が変わり、行動も変わる。記憶にはそのような価値があるのです。

人間が「今の10倍記憶できる」ようになれば、世界は変わる

Monoxerを、記憶定着「ツール」ではなく、「プラットフォーム」と呼んでいるのはなぜですか。

「ツール」としてしまうと、えるという行為だけに閉じてしまう感覚があります。本来、えるという行為の周辺にはいろいろな営みがあります。教材を定義する人や、教師のように学習を応援している人がいることをイメージすると、やはり「プラットフォーム」のほうがしっくりきます。いろいろなサードパーティが参画して広がっていくイメージです。

目指しているのは、Monoxerで東大に何人入ったとかではなく、「記憶できることが誰にとっても当たり前になる」世界です。江戸時代の農村部ではほとんどの子どもがひらがなを読めなかったでしょう。しかし今では、小学6年生は皆ひらがなが読めます。たった数百年で知的水準が劇的に向上しているわけで、そうしたインパクトをもたらしたいと思っています。想定しているのは、「今の10倍記憶できる」ことです。

そうなると、いまは知識的な制約がある医師や弁護士などの選択肢を多くの子供が選べるようになります。「医師にも弁護士にもなれる。だが、ならない。私はこれをやる」という感覚を実現したいのです。

最後に、どのような人と仕事がしたいかをお聞かせください。

モノグサでは4つのバリューを掲げています。「人類への奉仕」「事業へのオーナーシップ」「プロフェッショナリズムの体現」「ものぐさで行こう」というものですが、これらとフィットする人がいいですね。たとえば「ものぐさで行こう」というバリューにおいて、私たちは「いつでもボードゲームで遊べる余裕を持とう」といっています。遠くを目指すときに、ものぐさに、一見無駄なことに興じる余裕も大事だと思っています。これらのバリューに、自分は当てはまると思えた方はぜひ一緒にやりましょう。

 

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